Ajuga sp.とキランソウの比較
1 ツクバキンモンソウは「花冠上唇はきわめて短く長さ約1mmで、雄蕊よりも明らかに短い」、一方キランソウも「上唇はきわめて短く長さ約1mmで雄蕊よりも明らかに短い」と全く同じ表現で書かれており、ツクバキンモンソウとキランソウは上唇の様子からは区別できないことになる。 2 神奈川県植物誌、静岡県県植物誌いずれにもニシキゴロモの記載がなく、神奈川県植物誌では、「過去にニシキゴロモの記録があるが、すべてツクバキンモンソウの誤認である。中井(1911植雑25:151)がツクバキンモンソウをニシキゴロモの品種として発表する以前は、両者は同一種と見られていたことから、それ以降も混同されていたためである。」としている。 3 キランソウの花が桃色のものをモモイロキランソウという。 A 茎は開花時に地を這って広がり、基部にロゼット状の大きな葉がある。花冠は青色。上唇はきわめて短く長さ約1mmで雄蕊よりも明らかに短い …………………………………………………キランソウ A 茎は開花時や果時に直立するか斜上する。下部の葉は、鱗片状に縮小する。花冠は淡紅白色から白色 B 上唇は2.5-3mm ……………………………………………………………………………ニシキゴロモ B 上唇は1mmほど ……………………………………………………………………ツクバキンモンソウ 考察 1 両種はともに花時に茎が立たない。この点を重視すればキランソウとその色変わり品種のモモイロキランソウということになる。 2 しかし、両種は上唇の長さが明らかに異なる(キランソウは見えなかったがA.sp.ははっきり見えた)ので、これを重視すればキランソウとその色変わり品種とするには無理がある。しかし、現地のキランソウには上弁が見えないものが多かったものの、それが見えるものもあったことから、上弁が見えないキランソウは始めはあった上弁が早落性あるいは何かの原因でなくなったものと考えることもできる。この仮定に立てば、花が桃色で上弁が見えるAjuga sp.もキランソウの範疇に入ることとなり、モモイロキランソウ説が有力になる。 3 結論としては、
以上の確認をした上で、再度の検討が必要であると考える。 |